すっかり暗くなってしまった街並みに、毎日と同じ様に人が歩き、暮らす。
この街の人たちは、今日1日誰かがラチられ、砂漠の遺跡荒らし〜ドラゴンと戦闘までしたことなど全く知らない。
王の即位も内密に行われるらしく、話題にも上っていない。
この国の王という人物を知っている者さえ、ほとんどいないようだ。
暗めに落としたライトアップと異国の音楽が独特の雰囲気を作っている、レストラン・バー「ラジャリーネ」 その店のカウンターに、バル(カストはテーブル上)と、項垂れるLEVとタケヒロが座っていた。
怪我は補修済みだが、さすがにだるいのかあまり動かない。
仰は職業の制服に着替えて、カウンターの向かいに座っていた。
「仰ちゃん、バイトでもしているの」
「私、ここの一角を借りて占い師やってます」
「…それ本業だったんだ」
変装用のコスプレだと思っていた4人はナチュラルに驚く。
そこへ水を運んできてくれた店員に仰が激変する。
「いらっしゃい」
「スウさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんv約束通りお客さん連れてきました!」
「はいはい、ありがと。……注文は?」
「取りあえず、全部!」
「きゃ!男前なオーダー!」
しばらくしてから、テーブルで這い回っているカストを避けて、フルメニューの料理が所狭しと並べられた。
「じゃあ、食べながら説明しますね」


☆説明☆
大戦終結後、当時の国王であったウォータIIが王の行政権停止を唱しました。
権力を捨て、国民と共に生きることを願ったのです。
ま、これは表向きで、実は度重なる誘拐事件を避けるためでした。
水属・特にウォータの直系は一定範囲ですが、水の恩恵をもたらす特殊能力が備わっており、絶対的な加護を得ております。
当然、その力を欲して盗賊から国の頭までもが王の身を狙いました。
国民さえ巻き込まない状況に陥り、IIは数人の護衛を連れて、城を去りました。
(この頃カスト生まれる。水属はある時期になると分裂が始まり、2つに分かれます。ある意味同一人物)
しかし、安全と思われていた街中で王は忽然と姿を消しました。
1人の護衛の裏切りでした。
急遽、国はIII(カスト)の即位を決定しました。
(IIは出ていく前に自らで作り出したコピー体を首相にし、全権を譲渡してしまいましたが、カストとは違うので、王の力が及ばなくなると消滅してしまいます。そのため引き継ぎが必要となりました)
ウォータIと懇意であった私(仰)は王の継承を任されまして、今回のような事が起きないように、護衛の選抜も一任されちゃったんです。
ガードできるだけの力量と、信頼のおける者を選ばなければならないので、超特例で遺跡のゲートまで使って、その能力を試させて頂きました。(強制)




「………と、いうわけで、極秘の継承式も無事終了しましたし、護衛(守護者)も決定して、めでたしめでたし〜♪」
「おい、終わんのかよ?」
「…こちらの了解は一切なしか」
「はぁーカストって結構大変…って何飲んでるのっ!?」
「ピピー!教育的指導。怪我人は酒を飲んではいけません」
ちゃっかり酒を飲み始めている2人に仰は釘をさした。
(仰ちゃん一口メモ!酒を飲むと血が止まりません。良い子はマネしないでね)
「酔っぱらいだわ……ゴボゴボッ!」
「テメーも飲め」
「すいませーん、王様がからまれてまーす」
カストは口?に酒瓶をつっこまれているが、バルは止めない。
むしろ煽っています。
「イッキで飲むとこ、見てみたい!あそれ、イッキ☆イッキ☆」
「プハァー!………うぃ」
「おおー!」
チパチパと拍手喝采で大盛り上がりの中、タケヒロは飲み終えたグラスを戻して、席を立った。
「…俺は降ろさせてもらう。こいつらと馴れ合う気はない」
「あなたにとって悪い話じゃないですよ。…情報、提供します」
「……………」
「私はあなたの評価を過小していません。感情的に動くことのないあなたが、LEVを助けたのは公安に借りを作りたかったから。
依頼者を殺したのはこの国に留まるため。あの状況をあれだけ利用できるのはさすがとしか言い様がありません。もしかしたら、仕事を受けたのも自国をでる言い訳だったのかもしれませんね」
「何が言いたい?」
「もう一度、手に入れたい物があるのでしょう?」
「っ…………!」
「やめとけ」
思わず握りしめた日本刀を隣の男に押さえられ、タケヒロは冷静さを取り戻す。
あきらかな挑発に乗ってしまった。
相手が仰ちゃんだから仕方がないのだが。
「……いいだろう。ただし、仕事としてだ」
「決まりですね」
にっこり笑った笑顔の仰ちゃんの肩にかけたベールを、バルが引っ張る。
酔っぱらったカストは火照りを冷やすためか、飲み終えたグラスに入っている。
「僕まだやるっていってないよ」
「やらないんですか?」
「マジ危険そうじゃん。あんまりねー」
「大丈夫じゃねー?今回より危ねぇコト滅多にないぞ」
通常、ドラゴンとの遭遇率、消費税なみ。
数が少ない上に1ケ所に留まっていない。そのため、生還率ゼロに等しい。
「あ!ついでに私の仕事も手伝ってもらいます。賞金首の確保と種族間の鎮火、ぶっちゃけ便利屋」
「めんどい!絶対イヤ」
「ちゃんと料金貰ってんですよ」
「やらせて頂きます」
「あいかわらずの変わり身ねー」
話がまとまった所でまたまたスウさん登場。
仰ちゃんの目がvになっている。
「はい!これお会計、次回の給料から引いておくわね」
「何?給料って?」
「仰ちゃん、もしくわLEVの奢りじゃないのー?」
「…おまえだろう」
「オレを入れるな、つーか何者なんだよ?この女…」
ガン!
ほぼ本気で、仰はスウさんの持っているお盆(金物)を借りて、この女呼ばわりしたLEVの頭を殴る。
(仰ちゃん一口メモ2!怪我人の頭を殴ってはいけません。これもマネしないでね)
「紹介しますね。えーと社長様です」
「どーも、スウです。仕事の依頼から分配までこっちで決めます。表向きはここのオーナー。よろしく」
「ヨロシクオネガイシマス………」×3(一名死んでます)
ある意味、最強の方登場でした。
竜よりも強いタッグに、逆らえる者など誰1人いませんでした。

±-0(プラマイ-ゼロ)タイトル ザ・ロンゲスト・デイ    END






◆前にいくー!◆





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